西遊記の事件簿(2)     


西遊記の事件簿(1)からの続き
No.
事件名
概要
結末
季節
三蔵の災難
26
三蔵・八戒妊娠事件
西梁女人国という女ばかりの国に入ったとき、子母河という川の水を飲んだ三蔵と八戒が急に妊娠する。解陽山の破児洞の中にある落胎泉の水を飲めば堕胎できると聞いた悟空は、破児洞へ飛ぶ。 破児洞には如意真仙という化け物が住んでおり落胎泉の水をひとり占めしていたが、如意真仙を打ち負かし水を取ってきて三蔵と八戒に飲ませると、妊娠は解消された。
早春
不明
第42難
27
三蔵の女難事件(1)
西梁女国の女王が三蔵に婿になってほしいと言ってくる。三蔵に国王なってもらい、自らは王妃になって世継ぎをつくりたいという話だった。 悟空は一計を案じてひとまず話を受けるよう三蔵にすすめる。祝宴の後、通行手形に玉璽をもらい、三蔵は申し出を断る。女王はおおいに恥をかく。
早春
不明
第43難
28
三蔵の女難事件(2)
三蔵一行が西梁女国から逃げ出す時、一陣の風が吹いて三蔵が女怪にさらわれる。あとを追った悟空たちは女怪が三蔵を毒敵山琵琶洞に連れ込み、夫婦になろうと誘惑していることを知る。 悟空と八戒が女怪に挑むが、負け戦となる。魚籃観音から昴日星官なら女怪を降すことができると教えられた悟空は天界に行き、昴日星官に助けを請う。昴日星官が女怪をやっつけるとその正体は大きなサソリの精だった。
早春
不明
第44難
29
ニセ悟空事件
(追いはぎ殺害事件(2))
三蔵一行は追いはぎ30人余りに襲われるが、悟空がその多くを打ち殺してしまう。これに怒った三蔵は悟空を追放し、行くあてのなくなった悟空は観音菩薩のもとに身を寄せる。その間に、ニセ悟空が三蔵のところに現れて三蔵から通行手形の入ったふろしき包みを奪って逃げる。 沙悟浄からニセ悟空のことを聞いた本物の悟空は、ニセ悟空と戦うが力が互角で決着つかず。観音菩薩も三蔵も見分けがつかず。天界、冥界をめぐるが誰も見分けられず。ただ如来のみニセ悟空の正体が六耳ビ猴(ビ:ケモノ偏に彌)であることを見破り、これを捕まえる。観音菩薩のとりなしで悟空は再び三蔵のもとに帰る。
不明
第45,46難
30
火焔山事件
三蔵一行は火焔山に達するがこの山は燃えており、熱くて三蔵は通ることができない。この火を消すには芭蕉扇であおげばよいと聞かされた悟空は、芭蕉扇をもっている羅刹女に借りに行く。 羅刹女は紅孩児の母親で、その旦那は牛魔王であったので「紅孩児事件」の恨みから芭蕉扇を貸してはくれなかった。悟空と八戒は天の神々の助けをかりて牛魔王を降し芭蕉扇を手に入れる。芭蕉扇であおいで火焔山の火を消し、三蔵一行は火焔山を通過する。
不明
第47,48,49難
31
祭賽国事件
三蔵一行が祭賽国に入ったとき、金光寺の僧たちが寺の塔の舎利仏宝を盗んだという疑いをかけられて苦しめられているのを目撃する。三蔵と悟空が塔を掃き清めて調べてみると、2匹の化け物がいたのでこれをとっ捕まえた。 2匹の化け物は、乱石山碧波潭の万聖龍王の手下で、万聖龍王と龍王の娘婿の九頭ふ馬(ふ:馬偏に付)が仏宝を盗んだ犯人だと白状したので、悟空と八戒は仏宝を取り返すために碧波潭へ飛ぶ。悟空と八戒は二郎真君らの助けをかりて、万聖龍王と九頭ふ馬を打ち負かし、舎利仏宝を取り戻したので金光寺の僧侶や祭賽国の国王に感謝される。
初冬
不明
第50,51難
32
荊棘嶺事件
荊棘嶺を通っている時、1人の老人と鬼が現れて一陣の風と化し三蔵をさらっていく。三蔵は連れて行かれた先で、4人の老人と詩作に興じるハメになる。そのうち仙女が現れて、三蔵を誘惑するので三蔵が断ったところ、4人の老人や仙女たちは姿を消す。 三蔵は3人の弟子たちと再会する。悟空は、老人や仙女たちが松や柏などの老木の化け物だったことに気づき、八戒がこれらの木々をなぎ倒して片をつける。
不明
第52難
33
小雷音寺事件
三蔵一行は、小西天の小雷音寺という寺に着く。三蔵はここが旅の終着点の大雷音寺だと思って中に入るが、中にいたのは如来に化けた黄眉大王という妖怪だった。三蔵一行は黄眉大王に捕まえられる。 悟空だけが天の二十八宿の助けをかりて脱出に成功する。悟空は仲間を救うべく黄眉大王に再三、戦いを挑むがことごとく退けられる。そこに南無弥勒が現れ、悟空と弥勒は連係プレーで黄眉大王を捕まえる。黄眉大王の正体は弥勒の傍(そば)から逃げた黄眉童児だった。
不明
第53,54難
34
駝羅荘事件
三蔵一行は、駝羅荘というところで泊めてもらう。この土地には妖怪がいるという話を聞いて悟空は食べ物をもらうかわりに妖怪退治を請け負う。 悟空と八戒は大蛇の妖怪を退治する。八戒は村人からたっぷり食べ物をもらい、大きなブタに化けて七絶山の柿に埋まった道を切り開いたので、三蔵はここを通過することができた。
不明
第55難
35
朱紫国事件
三蔵一行は朱紫国に入る。この国の国王が病気だったので悟空は往診して、烏金丹という薬を作り国王の病気を治す。さらに国王の妃が三年前に賽太歳という妖怪にさらわれたままだという話を聞いて悟空は妖怪退治を請け負う。 賽太歳は3つの金の鈴を使って火、煙、砂を巻き起こし悟空を苦しめる。悟空は賽太歳の金の鈴を盗むことに成功し、この妖怪をやっつける寸前で観音菩薩が現れる。この妖怪は、観音菩薩のもとから逃げ出した金毛コウ(コウ:ケモノ偏に孔)だった。観音菩薩は金毛コウを連れて帰り、悟空は妃を国王のもとに連れて帰る。
不明
第56,57,58難
36
七女怪事件(1)
盤糸嶺というところで三蔵は食事をもらうため、とある民家を訪ねる。そこに住む7人の女たちは実は妖怪でたちまち三蔵は捕らえられてしまう。 弟子3人が救出に出向くが、女怪たちの子供(養子)である蜂やアブやトンボといった虫どもが立ち向かってきたので、悟空はにこ毛を引っこ抜いてこれを虫の天敵である鷹に化けさせ、一網打尽にやっつける。三蔵を無事救出するが7人の女怪はどこかに逃げる。
不明
第59難
37
七女怪事件(2)
三蔵一行は黄花観という道観に着く。ところが、ここの道士は7人の女怪の兄貴分の百眼魔君という妖怪で、7人の女怪もここに逃げ込んで来ていた。三蔵と八戒と悟浄は、道士から出された毒を盛った茶を飲んで倒れてしまう。 隠れていた7人の女怪が出てきて、へその穴から糸を出して悟空に応戦。悟空が7人の女怪を打ち殺すと蜘蛛の化け物だった。道士は百眼魔君の本性を現し、脇の下の千個の目玉から金光を放って悟空を苦しめる。毘藍婆の助けで百眼魔君を降し、三蔵らを救出。百眼魔君はムカデの化け物だった。
不明
第60難
38
獅駝洞事件
三蔵一行は獅駝嶺で獅駝洞にいた3匹の妖怪に捕まってしまう。これらの妖怪は青毛獅子、黄牙老象、 大鵬の化け物であった。妖怪たちは三蔵たちを蒸篭で蒸かして食おうとするが悟空だけは逃げ出すことに成功する。しかし、悟空の力をもってしても神通広大なこの妖怪たちには敵(かな)わず、三蔵が妖怪に食われたと思った悟空は如来に報告に行く。 悟空の話を聞いた如来は羅漢たちや文殊菩薩、普賢菩薩を引きつれて獅駝国に到着。悟空が三匹の妖怪をおびき出し、文殊菩薩が青毛獅子を、普賢菩薩が黄牙老象の妖怪をそれぞれ屈服させる。もともとこの菩薩たちは2匹の妖魔の主(あるじ)だった。如来は大鵬の妖魔を降伏させる。もともと如来は大鵬とは知り合いだった。まだ生きていた三蔵は救出される。
初秋
不明
第61〜64難
39
比丘国国丈事件
三蔵一行は比丘国に入る。ここでは多くの子どもがガチョウの籠に入れられているのを目撃する。比丘国の国王は、とある道士が連れてきた美女におぼれ病気になっていた。道士は国丈(国王の岳父)を名乗り、国王の病を治すために子どもの心臓を薬にしようとしていたのだった。三蔵は子どもたちを救うため悟空に命じて子どもたちを避難させるが、国丈は三蔵の心臓を所望する。 悟空は国丈が化け物であることを見抜き、これをやっつけるため追いかけていると南極老人星に出くわす。国丈の正体は、南極老人星のところから逃げ出した白鹿で、美女の正体は白狐だった。白鹿は南極老人星が引き取り、白狐は八戒がぶち殺す。子どもたちを家々に帰し、三蔵一行は国王をはじめ民衆から感謝され、歓待される。
不明
第65,66難
40
無底洞事件
三蔵一行は松林で木に縛りつけられている女を見つける。悟空はこれが妖怪であると見破ったが、三蔵は慈悲心を起こして助けてやる。一行が鎮海禅林寺に泊まった時、この女怪は三蔵をさらって陥空山無底洞に逃げて込んでしまう。そこで三蔵は女怪に夫婦になろうと盛んに誘惑される。弟子三人は無底洞を探し当て三蔵を救うべく女怪に挑むが逃げられる。 悟空は女怪の棲家で「尊父李天王之位」と書かれた金字牌を見つけ、女怪が李天王の娘であることを知る。悟空は天界に昇って玉帝に李天王を訴え、玉帝は李天王とその太子に女怪を捕まえるよう勅令を発する。悟空と李天王の太子は天兵を引き連れ無底洞に潜入し女怪を捕まえる。女怪は李天王を義理の父と拝する金鼻白毛老鼠の精だった。三蔵を無事救出して一件落着となる。
晩春
不明
第67,68,69難
41
滅法国事件
三蔵一行は滅法国に着く。この国の国王は和尚を1万人殺す大願をたて、今までに9,996人の和尚を殺していた。そこで一行は悟空が盗んできた衣服を身に着け、全員商人の姿に変装して滅法国に入る。泊まった宿で4人は大きな箱の中に入って寝ていると、強盗団がやってきて4人をその箱ごと持ち去ったが、国の警備兵がこれを奪い返す。 このまま国王の前に引っ張り出されたら厄介なことになると踏んだ悟空は一計を案じ、神通力を使って一晩のうちに国王をはじめ王妃たちや役人たち全員の頭を剃刀で剃って坊主頭にしてしまう。朝、目覚めた国王は皆の頭の髪の毛がなくなっていることに気付き、これは僧を大勢殺した報いだと考えるのだった。一行は国王に面会するが、殺されるどころか歓待されることになった。
不明
第70難
42
南山大王事件
滅法国を出ると目の前に隠霧山という高い山があり、そこには南山大王という妖怪が住んでいた。棲家は折岳連環洞という。大王の手下の妖怪3匹が3人の大王に化けて、それぞれ悟空、八戒、悟浄と戦っている隙に本物の大王が三蔵をさらっていってしまう。 悟空はネズミに化けて洞内に忍び込み、三蔵を発見。大王と手下たちを催眠虫で眠らせて三蔵と、大王に捕らえられていた樵(きこり)を救出する。大王を縄でしばって担ぎ出し、八戒が突き殺すと豹の化け物だった。洞は焼き払い、手下どもを皆殺しにする。三蔵一行は助けた樵の家で食事をごちそうになる。
不明
第71難
43
天竺国鳳仙郡事件
三蔵一行は天竺国の国境にある鳳仙郡に着く。この地方では3年の間雨が降らず旱魃(かんばつ)に見舞われ、民衆が苦しんでいた。悟空は雨を降らせてやろうと一肌ぬぐことにする。まず東海龍王を呼び出して、雨を降らせてほしいと頼むが、龍王は玉帝の聖旨がないことを理由に雨を降らせてくれなかった。 悟空は天界に昇って玉帝に謁見し、雨を降らせる聖旨を出してもらおうとするが、3年前に鳳仙郡の郡侯(太守)が天へのお供え物をひっくり返して犬に食わせるなどした不敬の罪のために玉帝が雨を降らせないようにしたことが判明する。悟空は鳳仙郡に戻って郡侯に善行を積むように言い、まちじゅうで天を拝し、香を焚いてお経を唱えていると、やがて玉帝の聖旨が出て雨が降ってきた。
不明
第72難
44
九霊元聖事件
三蔵一行は天竺国玉華県に着く。ここの3人の王子たちが悟空らに弟子入りし武芸を習うことになる。ある夜、悟空の如意金箍棒と八戒の九歯のまぐわ、悟浄の降妖宝杖が豹頭山虎口洞に住む黄獅に盗まれる。悟空ら3人は虎口洞に赴き策を弄して武器を取り返し、黄獅を打ち負かす。黄獅は竹節山九曲盤桓洞の九霊元聖のもとに逃げ込んだ。 九霊元聖は黄獅をはじめとする7匹の孫の獅子たちを率いて、玉華県に乗りこんでくる。悟空ら3人が迎え撃つが、八戒と三蔵、王子親子たちが九霊元聖にさらわれてしまう。悟空は九霊元聖が太乙救苦天尊が乗っている「9つの頭をもつ獅子」であることを知り、天界に太乙救苦天尊を訪ねる。太乙救苦天尊に竹節山まで来てもらい九霊元聖を収服し、三蔵や王子たちを救出する。
晩秋
14年目
第73,74,75難
45
三犀牛事件
三蔵一行は天竺国金平府に着き、慈雲寺に泊めてもらう。一行が元宵節の灯火見物に行ったときに、仏に化けて酥合香油を取りに来た3匹の妖怪に三蔵はさらわれてしまう。悟空があとを追うと青龍山玄英洞に住む辟寒大王、辟暑大王、辟塵大王という3匹の犀牛の化け物に三蔵は捕まっていた。戦いを挑むも悟空1人では敵(かな)わず、八戒、悟浄を連れてきても逆にこの2人は捕らえられてしまう。 悟空は天に昇って援軍を頼むことにする。玉帝に二十八宿の中の四木禽星を派遣してもらって青龍山に舞い戻り、再び犀牛の化け物に戦いを挑む。3匹の犀牛の精は四木禽星を見て逃げ出すが、西海まで追いかけ西海龍王の助けもかりてこれを捕まえ殺す。三蔵、八戒、悟浄も救い出す。来年から酥合香油を献上する必要のなくなった金平府の人々は喜び、三蔵一行を1ヶ月も歓待する。
1月
(新春)
14年目
第76,77難
46
ニセ公主事件
三蔵一行は給孤布金寺に着き一泊させてもらう。三蔵と悟空はこの寺の老和尚から天竺国の国王の公主(娘)を1人、1年前から寺にかくまっているという話を聞かされる。翌朝、一行は寺を立ち天竺国に入る。そこではニセモノの公主が結婚相手を決めるために撞天婚のまり投げをやっているところだった。三蔵と悟空がニセ公主を見極めようと近づいたところ、ニセ公主の投げた「まり」が三蔵に当たり、三蔵はニセ公主の結婚相手に決められてしまう。 婚礼の日、悟空は公主がニセモノであることを見破り躍りかかる。悟空とニセ公主の化け物はドンパチやり始めるが勝負がつかず、その時、太陰星君(月神)が現れてこの化け物の正体が玉兎(月のウサギ)であることを明かす。太陰星君は玉兎を連れて月に帰る。翌日、三蔵一行と国王らは給孤布金寺に赴き、公主と国王、皇后は1年ぶりに再会を果たす。三蔵一行は国王に感謝され歓待される。
14年目
(三蔵45歳)
第78難
47
寇家の件
三蔵一行は銅台府地霊県に入り、寇員外(寇洪)の屋敷に泊めてもらう。寇員外は金持ちで1万人の坊さんに斎(精進料理)をふるまうという願掛けを実行しているところだった。今までに9,996人の坊さんに斎をふるまっており、三蔵一行の4人でちょうど1万人の満願になることから盛大にもてなされる。 満願の法要につきあっているうちに半月が過ぎる。三蔵は早く西天に行きたいために、寇員外がもっと長く滞在するように引きとめるのも断って出発する。(特に事件性なし)
初夏
14年目
 
48
冤(えん)罪事件
三蔵一行が寇員外の屋敷を出発した日の夜、寇家の屋敷に盗賊が押し入り物品を奪った上、寇員外を殺害する。次の日、三蔵一行は偶然にもこの盗賊たちと遭遇し、盗賊が寇家に強盗に入ったと白状したので寇家の物品を奪い返す。一方、寇家の未亡人と息子たちは三蔵一行が強盗を働いたと役所に訴え出たので、 寇家の物品を持っていた三蔵一行は役人に逮捕されてしまう。 悟空は冥界に寇員外の霊魂を探しに行き、寇員外の寿命をあと12年延ばしてもらって現世に連れ帰ってくる。そして寇員外の遺体に霊魂をもどして生き還らせた。寇員外が、自分を殺したのは三蔵一行ではないと証言したので、強盗殺人の「ぬれぎぬ」が晴れる。寇員外は寿命を延ばしてもらって三蔵たちに深く感謝する。
初夏
14年目
第79難
49
得真経の件
三蔵一行は天竺の霊山に着く。ふもとの玉真観に1泊した後、霊山を登り始める。途中、大きな川があり凌雲渡から底無しの渡し舟に乗せてもらう。一行はそこで川に三蔵の死体が流れてくるのを見る。三蔵は行が満ちて凡胎を脱し成仏となったのだった。岸に着いた後、さらに霊山を登りついに一行は雷音寺に到着する。 一行は如来に会う。如来は経典を三蔵に授けるが、手ぶらで来たために最初は字の書いてない経典を渡される。もらって帰る途中に経典が全部、白紙であることに気付き、如来に抗議すると「紫金の鉢盂」と引き換えにちゃんと字の書いてある経典5,048巻をもらうことができた。
14年目
(5,040日目)
第80難
50
墜落事件
三蔵一行はお経をもらって帰途につくが、長安を出発してこの日までに5,040日かかっており、与えた経典の数に8日だけ足りないことに観音菩薩が気付く。そこで如来はあと8日のうちに一行を東土(唐)に送りお経を伝え、再び西天(雷音寺)にもどらせるように八大金剛に命じる。いまや凡胎を脱し雲にも乗れるようになった三蔵は、弟子たちとともに雲に乗って金剛たちに導かれ東土をめざす。 三蔵の災難簿を見ていた観音菩薩は、三蔵の災難の数がこれまでに80個であり九九の数(81)に1つだけ足りないことに気付く。そこであと1難を追加するために三蔵一行を雲から落とす。一行は通天河の近くに落ち、河を渡るときに経典もろともずぶ濡れになったので、その日は、以前に霊感大王から子どもを助けた陳家(事件No.24)に泊まることにする。
14年目
第81難
51
東土にお経を伝え、
正果を得る件
三蔵一行は夜のうちに陳家を出発し、再び雲に乗って1日もたたないうちに唐の長安に着く。三蔵は太宗皇帝と14年ぶりに再会し、弟子たちを紹介し経典を納める。太宗はたいへん喜び、宴会をひらいて三蔵たちの労をねぎらう。宴のあと三蔵一行は三蔵が昔居た洪福寺に泊まる。 翌日、太宗の求めに応じて三蔵が雁塔寺で真経を読もうとしていたところに八大金剛が現れて西天に帰るように諭したので、三蔵一行は香風に乗って雷音寺へ舞い戻る。如来は一行の正果を認めて三蔵を「栴檀功徳仏」に、悟空を「闘戦勝仏」に、八戒を「浄壇使者」に、悟浄を「金身羅漢」に、白馬を「八部天龍馬」にする。
14年目
 
参考文献
岩波文庫「西遊記」10巻シリーズ
人民文学出版社「西遊記」
中国御伽草子 西遊記
邱永漢「西遊記」
西遊記覚書
アイコン素材提供元: