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訳(by 冬眠)
唐三蔵(玄奘)は長安を出発してからというもの馬を休ませることもなく西に向かった。
(離)
蹄=ひづめ
去=行く
山を登り、川を渡り、虎を追い払い、豹を避け、万難を排して、行く道沿いに住む庶民の助けをかりながらついに大唐の国境にある両界山に到りました。 (難) (幇)=助ける
爬=(山などを)登る
渉=川を渡る
駆=追い払う
途=道、道路
百姓=平民、庶民
辺界=境界、国境
すると山のふもとから雷のような叫び声が聞こえてきた。「私のお師匠様が来た!私のお師匠様が来た!」
=聞く (師)
喊=(大声で)叫ぶ、わめく
如=〜のようである
三蔵は馬を引いて山を下りた。数里も行かないうちに(山の下の)石の箱の中に一匹のサルがいるのが見えた。そのサルが、頭を出し、手を伸ばしながら、やたらと手招きして言うには
(牽)=引く、引っ張る
=箱
露=現わす、さらけ出す
着=〜しながら
乱=むやみに、やたらに
「お師匠様、どうして今ごろ来たのですか?よく来てくれました!よく来てくれました!私を救い出してください。私があなたを守って西へお供いたします!」
=なぜ、どうして
才=やっと、今ごろ、今になって
好=良い
保=守る、保護する
上=行く
三蔵は言った。「おぬしは何の話をしておるんじゃ?」 そのサルは言った。「あなたは東土の大王が西へお経を取りに遣わしたお方ではないでしょうか?」 三蔵は言った。「まさにその通りだが。」
(説)=話す =何
差=派遣する、遣(つか)わす
往=〜へ向かって、〜の方へ
正=まさに、まさしく
サルが言うには、「私は500年前に天宮を大騒がせさせた斉天大聖でございます。お上(かみ)をだます罪を犯したために、お釈迦様によってこんなところに押さえつけられているのです。」
=騒ぐ、混乱に陥れる
因=〜のために
=だます、たぶらかす
被=〜によって
(圧)=押さえる
=〜に
(処)=所、場所
「前に、お釈迦様の意向を受けて、お経を取りに行く人をさがすため東土に行く観音菩薩がいらっしゃいました。」
(観) (尋)
領=受ける
旨=意向、おぼしめし
「私が観音菩薩に救ってくださるように言ったところ、観音菩薩が私に勧めて言うには、再び凶悪な行いをせず、仏法に帰依し、西方にお経を取りに行く人を丁重にお守りして、お釈迦様を訪問するように、と。功成った後には、おのずからよい処置があるだろう、とのことでした。」
(勧) (帰)
莫=〜するな、〜してはいけない
=保護する
(拝)=面会する、訪問する
(処)=処理する、処置する
「それゆえ、お師匠様が来て私を救い出してくださるのを待っていたのです。私がお師匠様がお経を取りに行くのをお守りしますから、私を弟子にしてくださるようお願いします。」
(願)
故=ゆえに、だから、したがって
等=待つ
=〜になる
徒弟=弟子、徒弟
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