第三話 上海に上陸




暗がりの中、前方に上海の街明かりがまたたいている。
早朝の薄曇りの中、長江の河口めざして船はゆっくりと進む。
行き交う船が多い。
海はすでに黄色く濁っていました。
大きな揚浦大橋の下をくぐり抜けるころにはすっかり辺りは明るくなって上海の高層ビル群らしいものが見えてきました。(右の絵)


朝の8時半にあまりきれいとはいえないフェリーターミナルに着く。
体調がようやく回復した彩葉ちゃんは上海に記念すべき第一歩を踏み出しました。

美人のお母さんがタクシーの運転手に「マンションホテル」や「シャンハイ・ダーシャ」と言ってみたけど通じないので、紙に「上海大厦」と書いて見せると運転手は理解したようでした。
初乗り10元でホテルに着く。
ホテルのロビーには、欧米風の外国人宿泊客が大勢いました。
チェックインしようにも受け付けの人は
「チェックインには早すぎる。今はチェックアウトの時間だ。」
というようなことを言ってチェックインさせてもらえませんでした。
しかたがないので大きなバッグはホテルにあずけて街をぶらつくことに。
彩葉ちゃんバッグを見せながら

 「これをあずかってください。

これを中国語で言うと(中国語をクリック)


荷物はあずかってもらえました。


ホテルの向かいはロシア領事館。
その横の外白渡橋を渡ってまずはバンド(外灘)に向かう。
ホテルからバンドへは歩いて数分の距離です。
ところが途中で雨が降ってきました。
するとそこへ都合よく傘売りのおばさんが通りがかって声をかけてきたので

 「いくらですか?

これを中国語で言うと(中国語をクリック)


傘売りのおばさんは紙に「10」と書きました。
お母さんが「5」と書くと、「5」でいいよ、ということになって5元で傘を手に入れました。
あまり質のよくない折り畳み傘でした。
傘をさしてバンドをぶらつく。(右上の絵)
河の向こうの霧の中に、串団子(くしだんご)のような形のタワー(東方明珠塔)が鋭く天を突き刺すように立っていました。(第三話おわり)